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AIに決算またぎを任せたら、どこまで自分の投資判断に近づけられるのか

公開 2026.08.24 更新 2026.08.25 読了目安 約6分 執筆 大津

決算発表をまたいで株を持つとき、何を見るだろうか。

決算の数字。会社計画。株価の上がり方。経営陣の発言。同業他社の動き。場合によっては、その会社の製品を誰が買っているのかまで調べる。

私は、決算またぎをするときに、こうした情報を一つずつ確認している。ただ、決算発表が集中する日は、調べる銘柄が数百社になるため、全部を自分で読むのは現実的ではない。

そこで、Earnings Agent Cupへの参加をきっかけに、自分の決算またぎの見方をAIへ渡してみることにした。

「何を買うか」より先に、「何を調べるか」を決める

AIに株式分析をさせ、買いか売りかの結論を出させるだけなら簡単だ。重要なのは、判断材料として何を与えるかである。

決算の良し悪しと、発表後の株価は必ずしも同じ方向に動かない。好決算でも、すでに株価へ織り込まれていれば発表後に売られることがある。一方、前回の決算が悪くても、その後に需要や受注が変化していれば、次の決算で評価が変わる可能性がある。

そこで、まず自分が決算またぎで確認していることを洗い出した。

  • ・直近の値動き。特に、決算前に過熱していないか
  • ・前回・前々回の決算資料と、そのときの株価の反応
  • ・CEOや経営陣の発言、会社資料のトーン
  • ・同業他社の決算と、その企業の業界内での立ち位置
  • ・販売先企業の決算。業績が販売先の設備投資や需要に左右される場合
  • ・技術系企業なら、販売している製品や技術がどのように使われるのか

洗い出した項目は、サブエージェントへの指示にそのまま組み込んだ。自分が普段確認している内容をチェックリストに整理し、どの銘柄も同じ観点から調べられるようにした。

1銘柄を1人に任せる

Earnings Agent Cupでは、その日に決算を発表する銘柄だけが取引対象になる。多い日には、候補が数百銘柄に及ぶ。

最初から全銘柄を同じ深さで調べるのは難しいため、時価総額上位半分に絞った。これは大型株が必ず優れているからではなく、決算発表後に売買しやすく、株価データも比較的取りやすい銘柄から始めるためである。

候補を絞った後は、1銘柄につき1体のサブエージェントを割り当てた。全体を管理するメインエージェントが対象銘柄を選び、サブエージェントがそれぞれの銘柄を調査する。調査結果をメインエージェントが読み比べ、最後に注文を作る。

4本の柱にまとめる

調査した内容は、最後に4つの数値へまとめた。

  1. 決算が上振れ・下振れしそうか
  2. 決算前に株価がどれだけ上がり、期待がどこまで織り込まれているか
  3. CEOや経営陣、会社資料から見える先行きへの姿勢
  4. 過去の決算発表で株価がどれくらい動いたか

最初の項目には、先ほど挙げた決算資料や同業他社、販売先、製品・技術の調査結果を反映した。2つ目は、業績と株価を分けて考えるためのものだ。3つ目と4つ目は、会社側の説明と、発表後の値動きやすさを補う。

この4項目は精密な予測モデルではない。株価から計算できる数字もあれば、資料を読んだAIの評価が入る数字もある。多数の銘柄を同じ形式で並べるための整理方法である。

注文量も、銘柄ごとに決めた

注文量については、株価水準や流動性に応じて無理のない量にすること、確信が持てない銘柄はポジションを減らしてよいことを指示し、1銘柄あたりと全体の上限も設けた。

各銘柄の注文量を調整した結果、1日に取引するのは7〜10銘柄程度に収まることが多かった。分散を狙って数を決めたのではなく、リスク管理のルールを当てはめるうちに自然とこの数になった。

個々の分析を完璧にするより、同じ条件で多くの銘柄を調べ、全体として期待値がプラスになればよいという考え方だった。

無料でAIを動かすために使ったもの

今回は、OpenCode ZenとGoogle AI Studioで発行したAPIキーを使った。

APIキーは、AIのサービスをプログラムから使うためのパスワードのようなものだ。AIそのものが入っているわけではなく、そのキーを使ってサービスに接続すると、AIエージェントから質問を送り、回答を受け取れるようになる。APIには無料で使えるものもあれば、有料のものもある。

Google AI Studioは、ブラウザ上でGeminiを試せるサービスである。画面上でモデルに質問するだけならAPIキーは必要ないが、自分のプログラムやAIエージェントからGeminiを呼び出す場合は、APIキーを作成して接続する。GoogleアカウントでAI Studioに入り、APIキーを作成する画面からプロジェクトを選ぶと、発行されたキーをプログラム側に設定できる。

おわりに

今回のシステムでは、自分が決算またぎで確認している項目を、サブエージェントが銘柄ごとに調べられる形へ整理した。メインエージェントとサブエージェントに役割を分け、時価総額や売買代金の大きい候補を1銘柄1体で調査し、その結果を4項目の数値にまとめた。

ただし、チェック項目を一律に並べるだけでなく、もっと細かく分解して評価すべきだったと感じた。一括りの4項目に落とし込む前に、どの要因がどれくらいの重みを持つのかを個別に検証してから重み付けすべきだった。評価や重み付けがどれだけ再現性・妥当性を持つのかを事前に検証するプロセスが不足していた。次回は、分析させるだけでなく、要因ごとの影響度を検証し続ける仕組みを組み込みたい。

SUMMARYこの記事のまとめ

  1. 自分が決算またぎで確認している項目を、サブエージェントへの指示に入れた。
  2. 1銘柄1サブエージェントで調べた。
  3. 決算の方向、株価への織り込み、経営陣の姿勢、過去の値動きを4項目にまとめた。
  4. 個々の分析の深さより、多数の銘柄を同じ条件で調べて比較することを重視した。
NOTE

本記事は、Earnings Agent Cupで実際に使用したシステムと運用記録をもとにした振り返りです。Earnings Agent Cupはデモトレード競技であり、証券口座への実発注や投資助言を目的としたものではありません。本文中の評価・数値化・判断は、当時の運用内容を説明するものであり、将来の成果を保証するものではありません。

WRITTEN BY
大津
全日本学生投資連盟 エンジニア部門

全国の学生投資家への取材と、投資を学び始める同世代に向けた記事制作を行っています。記事はすべて複数名の編集部員によるファクトチェックを経て公開しています。

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